工場の灯り

昨夜、川崎の工場夜景見学バスツアー(多文化トレイン)に参加しました。川崎南部の埋立地に密集した工場群。かつてその工場から排出された煙雲によって川崎の空は汚染され公害問題を惹起しました。ガイドさんの解説では現在、煙突の白い煙は全て水蒸気で、有毒ガスは燃焼し夜空を照らす炎に変わりました。

駅前に訪れる人々の為に光る色取りの灯は確かに綺麗でが人工的です。しかし、工場で働く人々の手元足元を照らす蛍光色とオレンジ色だけで創りだす夜景が、不思議と自然に見えたのでした。

8年前、川崎市が工場夜景ツアーを企画し40名の定員に800人の応募があったとのことです。以来、その感心に応答する民間業者の協力参加のもと数々のツアーが企画され全国に波及しました。ガイドさんはボランティアですが工場夜景以外にも川崎に関する豊富な知識をお持ちで大変勉強になりました。

そのガイドさんの印象深い一言、「夜は、昼間には見えないものが見えるんですよ」。暗闇を照らす真の光を待ち望むアドベントに相応しい一言でした。寒空の夜、働く人々を照らす灯りの集合体が、駅前のそれとは異なる不思議な夜景を創りだしています。もしや、聖書の云う暗闇を照らす光とは、又野宿する羊飼いらを照らした灯りとは、厳かな礼拝堂を照らすロウソクのような灯りではなく、この工場群を照らしている灯りなのかもしれない。そう思えた一夜の体験でした。

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