救い主の誕生が最初に知らされたのは、野宿する羊飼いたちでした。
「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きの喜びを告げる。」(ルカ2.10)
この「民全体」に込められた意味から以上の言葉を意訳すると次のようになります。
「喜べ、わたしは、これまで数の内に入らなかった人々に与えられる大きな喜びを告げる」
この意訳が「数の内に入らなかった人々に(も)与えられる」ではなく、(も)を除いている所に意味があります。 この日本で日本人として生まれた人は、「全国民」と「日本に住む全ての人」の違いに気付き難いものです。
全国民とは全ての日本人を指しており、この言葉はニュースや新聞で良く見聞きします。しかし在日外国人はそこに自分が含まれていないことを知っており、その言葉に接する度に数の内にないことを実感するものです。
福音は数の内に入れられていない人にもたらされました。その数の内に入れられなかった人々が救われて初めて全ての民が救われるのが福音の法則であって、恩恵として数の内にない人に(も)もたらされるのではありません。
アベノミクスは大企業が先ず潤って、その恩恵に中小企業が与るという理論です。これに対して福音はその真逆であり、先ず数の内に入れられなかった人々が救われて、その恩恵に全国民が与るのです。福音とはそういう方向性を持っており、そこにこれまでとは違う新しさがあることをルカはこの「民全体」に込めています。
では如何にして数の内に入れられていない存在に気付くことが出来るのでしょうか?それを、身を持って教えてくれたしるしが飼い葉桶であります。