そもそも米軍が日本と韓国に駐留している経緯と目的は異なります。現在日本には米軍約5万人が駐留しており、これは第二次大戦後、1951年のサンフランシスコ講和条約と同日に締結された日米安全保障条約により占領軍が在日アメリカ軍として引き続き日本に駐留しているものです。
これに対し韓国の場合、現在約2万8500人が駐留しており、これは朝鮮戦争に国連軍主力部隊として派遣され、休戦後引き続き韓国に駐留しているものです。したがって南北の和解により朝鮮戦争終結が実現すれば、アメリカ軍は韓国に駐留する根拠を失います。
基地と軍隊の削減は究極的平和が目指す道です。しかし仮に朝鮮半島から米軍が撤退した場合、周辺国(主に中国と日本)の防衛問題、また米国の軍需産業界に与える影響などから、今回の米朝首脳会談に在韓米軍の進退が協議されるか否かが注目視されています。
国際政治の識者よれば、日本(現政権)は防衛と領土問題等の観点から韓国に米軍が残留することを期待しているとの見方が主流です。しかし朝鮮戦争勃発の経緯に鑑みるならば日本はそれを期待する立場にあらず、何より南北の和解を支援しなければならない第一人者である筈です。
現在、アメリカは経済事情からシリアからの米軍撤退をすすめていますが、結果的にシリア・パレスチナの問題はヨーロッパ諸国が引き継ぐこととなります。等しく朝鮮半島の問題は今後北東アジアの諸国が協力して取り組んで行くべき課題ではないでしょうか。