財務大臣の使った言葉ですが、辞書によれば「民度(みんど)とは特定の地域・国に住む人々の平均的な知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度を指すとされる。」と記されていました。
新型コロナウィルス拡散による自粛要請によって経済は大きな打撃を受けています。自粛による倒産と失業が急増する中、苦肉の策として政府が打ち出した政策について世論は賛否両論です。さらにそれに拍車をかけたのが感染者の多い東京を対象から除外したことでした。不公平であるとか、東京だけを除外する根拠が不明とか。しかしそもそもウィルスの拡散を防止することと人を動かして経済を回すことは両立しえないことは分かっていることです。しかし両立しないけど、一方だけを生かせば一方は確実に死にます。今できることは、それほど酷く感染拡大しない程度に、それほど酷く倒産や失業者を出さないように人を動かして経済を後押しするという、辛い対策しか思いつかない状況です。
そういうさじ加減が難しい対応であるがゆえに、更に目まぐるしく状況が変化する中で「東京だけ除外」という判断を下さなければならいことに私は理解を示すという事を言いたいのではなくて・・・。本件でなんとなく釈然としないのは、今回の政府が打ち出した政策は「みなさん、お待ちどおさまでした、自粛疲れしたでしょう、さあどうぞ楽しいご旅行をお楽しみください」という主旨ではない筈です。(確かにこのGOTOキャンペーンというやり方自体が相応しかったのかどうかという疑問はありますが)本質は、死にかかっている観光業界を救済し経済にエネルギーを注ぐために強力すると思ってみなさんご旅行下さいというものではないでしょうか?
それを「なんで東京だけ除外なんだ、不公平だ」のと。本当なら今週から開催される東京オリンピック実現のために国民が声高に「オールジャパン」と声を上げていましたが、オールジャパンというなら、こういう時にこそ用いる言葉ではないでしょうか。それを不公平だの、何を根拠にだのと、報道番組から聞こえてくる自己中心的な声に、この国の「民度」は如何なものかと疑いたくなるのです。
そもそも「民度」などという言葉は、財務大臣の発言で初めて知りました。新型コロナウィルスよる日本の致死率の低さの理由を諸外国から問われ「オタクとはうちの国とは国民の民度のレベルが違う」と大臣はお答えになったようですが、出来ならばその「民度」のレベル水準をオールジャパンで証明し事実にしていきたいものです。
孫 裕久