降誕

待降節4 ルカ福音書2:1-21

「そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録せよとの勅令が出た。」(ルカ2:1)

これは今日の人口調査であるが、その目的は拡大した領土から税を徴収するための基礎調査であった。即ちその調査対象である民は支配者にとって徴税の数に過ぎなかった。権力者がその権力を保持するために民を数として扱うそのような時代にメシアは誕生したと福音書記者は伝えている。

メシア誕生の知らせは野宿しながら、夜通し羊の群れの番をする羊飼いらに伝えられた。主の天使は「布にくるまって飼い葉桶に寝ている乳飲み子」がそのしるしであると教えた。そして彼らは急いで出かけその事実を確認し神をあがめ賛美した。ここで注目すべきは「見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので」(2:20)という所にある。

野宿しながら夜通し羊の番をしている羊飼いのことを私たちは気づいていない。彼らは徴税の数ではあるがその人格は憶えられていない。そんな彼らに届けられた福音のメッセージが、そのとおりである事実(しるし)を見届けた時、羊飼いらは神に憶えられている事を確かに知った。それが彼らの喜びであり、その応答が神への讃美である。

不妊の女で既に高齢となったエリザベト。結婚前に婚約者以外の子を宿したマリア。神の記憶にないとしか例えようのない彼女たちにとって受胎告知(しるし)は羊飼い同様、神に憶えられていたという喜び以外の何ものでもない。

憶えられているとは喜びである。数ではなく私を人として、その人格を憶えていて下さっているその喜びは、私を野宿する羊飼いの存在に気づかせていくのである。

孫 裕久

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