傷ついた葦を折らず

マタイ12:15-21

「彼は争わず、叫ばず、その声を聞く者は大通りにはいない。
正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない。」

「正義の味方」と最初に言ったのは誰でしょうか?
古今東西、正義とは、戦争等本来非人道的な所業を正当化するために利用されて来た言葉です。即ち、人はみな正義を味方に付けてきたのです。これに対して正義の味方とは自らを正義の為に用いる者です。
聖書の正義は「公平な裁き」という意味です。古来、強者に有利であった裁きを、弱者救済を目的に置かれたのが「公平な裁き」、即ち正義でした。
「正義を味方につけるもの」は、自分の正義を世に認めさせるために争い、そして叫びます。すなわち弱者を味方につけて自己正当化の道具として利用します。これに対して正義の味方は、「正義が勝利する」事が目的であり、その正義に仕えるのが「正義の味方」です。
イエスは正義の味方でした。正義の味方は、争わず叫びません。争いは正義の名のもとに弱者を踏みつけ、小さな命を蔑ろにします。しかし正義の味方は、傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さないのです。正義を勝利に導くまで。

孫 裕久

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