一線を越えない

10/26-28、第40回日本基督教団総会が開催されました。総会では諸役員の選挙が行われ、中でも常議員選挙の選挙方法が近年問題になっています。常議員とは総会閉会中(2年間)、教団の様々な議事を審議する代表役員ですが、教職議員14名、信徒議員13名が選出されます。その選挙方法は各総会議員が27名全員の名前を連記(全数連記)して投票します。

この問題点は多数派が指示する議員が全員当選する仕組みになっている点です。400名の総会議員中、仮に多数派が201名であっても常議員は全員多数派による議員で構成されます。常議委員による常議委員会は総会閉会中、総会に代わって教団の議事を審議する委員会であり、その主旨からすれば総会の多様な意見を反映する構成メンバーであるべきです。

現在、教団総会のパワーバランスは様々な議案の採決結果から10:8.5の勢力比率になっていますが、全数連記では常議委員会の構成比率は10:0になります。少数派は動議(半数連記)を提案しましたが、採決は少数否決となりました。

全数連記は以上に記した以外に神学的にに重大な問題が含まれています。それは一言で言えば「不信仰」です。誰彼問わず、多数派に属する時、その人は全数連記という誘惑の前に立たされます。自分たちの信じる考えを速やかに執行するために異なる意見を排除し絶対多数を確保しようとする、これは誘惑です。そこには神に委ねる領域は確保されていません。これは善悪を知る知識の木の実を取って食べる行為です。

信仰者はこの誘惑に手を染めてはなりません。我々には毒麦を選別し刈り取る役割は与えられていません。それは間違って麦を刈り取ってしまうからです。(マタイ13.29)神に委ねるとは、自らに限界を置くということであり、越えてならない一線を越えない、取って食べてはならない実を食べないという事に他ならないのです。意見の相違は確かにあります。しかし自己を絶対化するのではなく、異なる意見を突き合わせ対話していく所に神のみ心へ一歩ずつ迫ることが出来ると信じる、その信仰に立つ合同教会として一致する事を切に願うものです。

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