人は人生で幾度、合格発表というものを経験するでしょうか?合格者の受験番号の書かれた模造紙が張り出され、皆がそれに食い入りながら自分の番号を探す様子は古今東西みな同じでしょう。そこには恐れと緊張、歓喜と沈黙、笑顔と落胆たちが入り交じっています。おおよそこのような形式の合格発表は10歳前後から20代前半に多く見られる光景ですが、まさか61歳にもなって経験するとは夢にも思いませんでした。
昨日(11/23)、岸根公園内にある県立武道館で剣道四,五段の昇段審査会が開催されました。受付を済ませ受験票を受取り、着替え部屋に入ると審査に挑む受験者の熱気がこもっていました。不思議と自分以外はみな強そうに見えるものです。
審査は受験番号の隣り合う二人とそれぞれ1分の試合を行い、審査員5名中、3名が◯をつけると合格です。四段の受験者は172名。受験番号は年齢の若い順で私は166番でした。20代の若者から30代位が中心で私のような60代以上は10名程いたいでしょうか。おそらく私と同じようなリバ剣組でしょう。リバ剣とはリバイバル剣士の略称で、ブランクを挟んで剣道を再開する人の総称です。普通60歳以上の受験者といえば七、八段を受験するので、四段クラスで60歳以上は少し目立ちます。
審査を終えて結果発表の時、ふと高校受験の合格発表を思い出しました。剣道二,三段を受審した当時は自信があったので緊張しませんでしたが、高校受験の時はハラハラドキドキでした。あの高校受験に勝るとも劣らない恐れと緊張感をもって張り出された模造紙を覗き込んだのです。
30年以上ものブランクを挟んで今更剣道を再開する意味がどこにあるのか?そんな一抹の疑問を心に残したまま再び竹刀を握って1年。自分の受験番号が見えた瞬間、今は健康のために、また信仰の養いにとっても、力が尽きるまで続けていこうと思った次第です。
「何事にも時があり/天の下の出来事にはすべて定められた時がある」
(コヘレト3.1)