蕎麦屋で

最近、娘(長女)は週末に一人で近所の温泉(志楽の湯)に出かけます。昨日は、帰り路の湯冷めを案じて車で迎えに行ったところ、頃良い時間だったので併設される蕎麦屋で夕食となりました。帰りの運転は娘に任せて生ビールを飲みながら周囲を見渡すと、暖色の灯りにともされた温泉客で賑わう様子がいかにも居心地良く、眼の前で蕎麦をすする娘にふと言葉が漏れました。「幸せな国だね・・・」。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると2022年末時点で、紛争や迫害により故郷を追われた人が1億840万人とのことです。この冬、シリアでは1670万人が、ウクライナでは366万人が、そして-33℃に達するアフガニスタンでは322万人が大規模な地震や攻撃などで自宅を失い、暖房か食料かの選択を迫られながらこの冬を乗り切ろうとしているとのことです。クリスマスは私たちに気づきを与えようとしています。居心地の良い賑わいの影で居場所を失い飢えている人々の存在を。
憲法13条では個人が幸福を追求する権利が保証されています。しかしそれは欲の追求ではありません。幸福と欲の追求の混同が居場所なき民を作り出しているのではないでしょうか。幸福は隣人との関わりを求め、欲はそれを必要としません。幸福を追求する道は常に浴という死の影の谷間に沿って延びています。油断すると足を滑らせ浴に埋没し、そこから這い上がってくるのは困難を極めます。
温泉上がりの娘と蕎麦をすすりながらもう一言、「やっぱり恵みは分かち合うために与えられているんだね」。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)は、第二次世界大戦後の1950年、避難を余儀なくされたり、家を失った何百万人ものヨーロッパ人を救うために設立された。当初は3年で難民の救済活動を完了し、解散する予定であった。しかし設立から半世紀以上経った今日も、UNHCRは、世界中の難民の保護や支援に取り組んでいる。

寄付先 URL:japanforunhcr.org/

孫 裕久

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