敵意との戦い

この程、関田寛雄牧師が横浜YMCAの「奉仕の書」※を受賞されました。昨日(5/25)、横浜YMCAの会員総会でその授賞式がありましたが、北海道出張中の関田牧師の代役として私が出席し感謝の意を代読しました。その中で関田牧師は次のように述べておられます。

今日、日本社会を含めて世界の動向を押し進める「自国中心主義」に注目しなければなりません。(中略) 20世紀における二つの大戦の痛ましい教訓に学ぶことなく、政治的にも経済的にも、宗教的にも対立と排除を促す「敵意」が波及しております。この時代にあってこそYMCAの存在とその運動が強く強く求められております。一語で申してその目標は「共に生きる」ことであります。

「共に生きる」とは優しい聞こえの良い言葉です。しかしその対極にあるのは、対立と排除を促す敵意であることを忘れてはなりません。即ち共に生きるとは敵意との戦いなのであります。そしてその敵意とは他者の何かを指すものではなく、むしろ自分自身の内面で働く怒りの感情と深く関連しているように思います。
関田牧師が言及されている「自国中心主義」は対立と排除を促す敵意という種を人々の心に蒔いています。共に生きんとする者らは自らの内にある敵意と戦うことが目下の課題であると私は考えます。しかし怒りの感情に支配される時の無力を幾度となく味わったことでしょう。
マハトマ・ガンジーは敵意を超える赦しこそが平和への道筋であると教えています。赦しとは何でしょうか?忍耐か、忘却か、それとも傲慢か。否それは「信じる」ことであると思います。故に「共に生きる」とは信じることに行き着くのです。これは信じることを看板に掲げるキリスト者としては妥協の許されない所でありましょう。

※奉仕の書
長らくYMCAに貢献され方に授与される賞で、「奉仕の書」にその働きと名前が記されます。

<奉仕の書に記された内容>
関田寛雄(1928年生)
1948年から1953年まで、戦後の困難時代に横浜YMCAの職員として少年部の再建にご尽力された。その後、青山学院大学神学科教員と同時に、牧師として、川崎市で在日朝鮮人の居住地域での開拓伝道に入り、川崎戸手教会を設立した。以来一貫して、北東アジアの和解と平和への取り組みを導き、横浜YMCAをはじめ全国のYMCA、学生YMCAの指導者として活躍された。特に、1996年の日本YMCA基本原則採択に関わり、日本YMCA主事養成研修の講師を25年務めるなどYMCA運動を推し進められた。横浜YMCA創立125周年記念礼拝ではメッセージをいただくとともに、子どもたちの心に平和の鐘を響かせようと、中国・上海YMCAと韓国・光州YMCAとの平和の鐘の交換交流の実現に貢献された。

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