神を欺く

聖書研究会
使徒言行録 5:1-11 より
聖霊降臨後、クリスチャンたちは家や土地を売って代金を持ち寄り、必要に応じてそれを分配し、一人も貧しいものがなかったと記されています(使徒言行録4章)。ところが、アナニヤとその妻のサフィラは土地を売った代金をごまかしてその一部を差し出しました。ペトロはこの行為を見破り「あなたは人間を欺いたのではなく、神を欺いたのだ」(5.4)と叱責しました。「神を欺く」とはどういう意味でしょうか。
ペトロはアナニヤ夫妻の何に対して「神を欺いた」と叱責しているのでしょうか。突き詰めるならそれは目的を偽り装ったことです。
私たち人間は何を目的に生きているのでしょうか。それ以前にその目的を自覚して生きているでしょうか。社会に生きる人間全てに共通する人間関係には、林檎が木から落ちように気に入られようとする引力が働いています。周囲のクリスチャンが私有財産を売却して教会に捧げる中で、自分たちもそうしなければとアナニヤ夫妻は思ったのかも知れません。人がどう生きるかはその人の自由です。しかしキリスト・イエスに従うと誓いを立てたものが、キリスト・イエスに従っているように装い、ましてその装いを自分の得を高めるために利用することは神を欺ことなのです。一部しか捧げないなら、はじめから土地を一部だけ売れば良かったのです。
「神を欺くなかれ」キリスト者はこれを肝に命じましょう。

「こんなことを言って、今わたしは人に取り入ろうとしているのでしょうか。それとも、神に取り入ろうとしているのでしょうか。あるいは、何とかして人の気に入ろうとあくせくしているのでしょうか。もし、今なお人の気に入ろうとしているなら、わたしはキリストの僕ではありません。」(ガラテヤの信徒への手紙1.10)

孫 裕久

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